医薬品サプライチェーンは今年、大きなプレッシャーを感じていました。 生命を左右する医薬品を出荷するという重要な役割は常に担っていましたが、サプライチェーンの混乱により、ただでさえ複雑なこの役割にいくつかの課題が生まれていました。
フォーチュン100社の1社となるAbbVie製薬会社は、サプライチェーン戦略にリアルタイム輸送可視性を組み込むことで、俊敏性を改善し、顧客体験を向上させることに成功しました。
CSCMP Edge 2020では、AbbVieのグローバル物流&JAPAC流通担当責任者であるグレッグ・プリチャード氏がproject44の製品およびサービス担当最高責任者であるヴァーノン・オドネルと会談し、同社の可視化への過程や、リアルタイム出荷データが製薬サプライチェーンにもたらす影響について議論しています。
AbbVieのリアルタイム輸送可視化への推進力
今日の多くのグローバルサプライチェーンと同様に、AbbVieは出荷に関するより多くの洞察を得て、出荷の管理を向上さるため、リアルタイムの可視化を検討していました。
「当社の製品が輸送中のどの時点にあるのか、出荷状況、特に気象などの事象への対応について把握したいと考えていました」とプリチャード氏は述べています。 「温度制御された高価値の貨物や医薬品を多く出荷しているため、可視性を確保するは非常に重要でした。」
貨物の所在を把握することで、事前に計画を立てて、必要に応じて変更することもできます。 これだけでも荷主にとって重要なことですが、AbbVieは間もなく、可視化データが顧客体験を向上させるのに役立つことに気付きました。
「導入後、顧客サービスチームでも可視性機能を使用して顧客からの問い合わせに回答できるようにすることで、顧客体験も強化できることに気付きました」とプリチャード氏は述べています。
リアルタイムの信頼性の高い可視化データを活用することで、AbbVieは永遠に変わらない質問「荷物はいつ届くのか?」という問い合わせにも対処できるようになりました。
そして、今年多くの人が学んだように、この質問に回答できる能力は、顧客にとってますます重要なものになっています。
顧客との信頼性の構築と維持
世界的なパンデミックにより全世界が危機に瀕していることから、医療業界は医療機器や医薬品がいつ届くのか不安に感じています。
「貨物の位置をリアルタイムで把握し、対応できるようになったことで、顧客に提供できる安心感が高まりました。エンゲージメントを築き、問い合わせに迅速に対応し、調整を行うことができるため、サービス体験も向上しました」とプリチャード氏は述べています。
今年を通して、AbbVieは顧客にリアルタイムの出荷情報を提供する必要性が高まっていることを実感しています。
「供給に支障が出た場合、あるいは至急便や緊急便の出荷要件があった場合、あるいは非常に重要性があり追跡する必要がある貨物がある場合には、特別な配慮をしながら対応できます。社内で特別配慮プロセスを形成し、可視化プラットフォームを活用することができます」とプリチャード氏は続けています。
リアルタイムの貨物情報が得られることで、AbbVieの顧客の間には必要な時に貨物が到着するという信頼が築かれています。
「今後も重要であり続けると思います。物事をしっかりと管理しており、把握していることを示しながら顧客と信頼性を構築し続けることが、今後さらに重要になるでしょう」とプリチャード氏は述べています。
可視化アプローチの決定
可視性が顧客とのエンゲージメントに役立つことは理解できても、適切な可視化アプローチを見つけるのは必ずしも容易なことではありません。
「当初、ごく初期の段階ではサードパーティパートナーと契約しましたが、そのパートナーもこの分野にも進出したばかりでした。接続性の構築やネットワークの立ち上げという面でいくつかの課題が生じました。また、当社には広範なグループのキャリアが存在します。当社のシステム間の内部的な接続を構築するのは困難でした」とプリチャード氏は述べています。 「ある時点で、自社で可視化ソリューションを開発することに決めましたが、システムの信頼性、そして情報をタイムリーに取得できる能力の面で課題が生じました。」
社内で可視性を解決するのは、特に多くのキャリアと業務を行っている場合、大きな負担となります。 信頼性の低い情報や古い情報などの課題に直面するにつれ、AbbVie社内の信頼レベルは低くなっていきました。 社内チームからの信頼がなければ、採用することは困難でした。
AbbVieは、この技術への投資に焦点を当てているリアルタイム可視化プロバイダーを探し始めることにしたのです。
プリチャード氏はこう述べています。「これは、適切なエキスパートと提携することで、真に能力を推進させることができたという典型的な例ですね。」
データを使用してキャリアとと繋がりパフォーマンスを向上
可視化を得る際に課題が生じる理由の1つは、荷主の全キャリアネットワークと接続する必要があることです。
AbbVieが可視化に取り組み始めた際の経緯について、プリチャード氏は次のように述べています。「すべてのデータソースについて理解し、正しく接続することが非常に重要でした。」
これらのキャリアとの接続は、荷主が情報に基づいた、先を見越した意思決定を行うために不可欠ですが、これらのデータは荷主のキャリアとのコミュニケーションの向上にもつながります。
「目の前に利用できるデータがあるため、輸送会社と交流する際や、特定の混乱や出来事に関連するコミュニケーションをする時に、はるかに効率的で合理化されたものになります」とプリチャード氏は述べています。
荷主は、キャリアとの会話で可視化データに基づいた分析を使用して、改善すべき分野を掘り下げることができます。 さらに、品質データは、荷主が自社のパフォーマンスや、顧客の効率を向上させることができる分野を理解するのに役立ちます。
「p44データを当社のデータレイクにフィードすることで、多くのパフォーマンス指標を生成できるようになりました。当社の配送パフォーマンス指標はすべて、p44から得た情報に基づいて計算されています」とプリチャード氏は述べています。
忠実度の高いデータと実用的なインサイトにより、荷主は社内の枠を越えて継続的に改善を進めることができます。 さらに、リアルタイムの輸送可視化により、サプライチェーンは必要に応じて計画を転換することができ、顧客からの信頼と信用を高めることができます。
グレッグ・プリチャード氏とヴァーノン・オドネル氏との会談の全内容をお聞きください
AbbVieのグローバル物流&JAPAC流通担当責任者であるグレッグ・プリチャード氏との会談の全内容をご覧ください。